こんにちは! 旅と仕事を両立しながらデジタルノマドとして生きている、フリーライター/PRの小林香織です。
2017年11月〜12月のうち、バリに3週間ステイしていたのですが、そこで「デジタルノマド」という働き方をされている日本人の方々と出会いました。“次世代に残せる未来”をつくるべく、社会起業家や社会変革を目指す団体の支援を行う一般社団法人「アース・カンパニー」のみなさんです。

アース・カンパニーの公式HPより
アース・カンパニーは濱川明日香さん・ 知宏さんご夫妻が立ち上げた団体で、現在はバリと日本を拠点とし12名体制で動いているそう。今回はお忙しい時間を割き、明日香さんと田丸悟郎さんがインタビューに答えてくれました!
世界を動かすほどの偉大な事業を行っているみなさんが、なぜバリと日本でリモートワークで働いているのか? デジタルノマドでどんなライフスタイルが叶うのか? 海外移住したい人、ノマドライフに憧れている人、必見です!!
ウブドライフ=ストレスフリー

ウブドの有名観光スポット「モンキーフォレスト」の森林
かおり:ウブドって緑がたっぷりで気持ちいい場所ですよね〜! その分、虫や爬虫類も多いですが(笑)。なぜ、ウブドでリモートワークという働き方を始められたんですか?
明日香さん:もともと共同創設者でもある夫と「より私たちの価値観やライフスタイルに合った場所に移住したいね」と話していて、ハワイ・バリ・石垣島・葉山の4箇所を移住候補地として挙げていたんです。
最終的に夫が創業間もない頃から関わり、現在は最高戦略責任者として関わっているNPO法人「コペルニク」の拠点がウブドだったこと、ウブドがソーシャルマインドを持つ人が集まるハブとなっていることが決め手となって、バリに決めました。やはり、アジア太平洋の途上国の変革を支援する仕事なので、現場に近いほうが良いなって。
かおり:ウブドに移住してみて、どうでした?
明日香さん:めちゃくちゃ住みやすいですね。自然が多いこととバリの人たちの寛容な人柄がすごく好き。ストレスが圧倒的に少ないです。いろんな途上国に住んできたけど、ここまで排他的なところがない民族はなかなかいません。とにかくみんなウェルカミングで、居心地がいいんです。
今、2人子どもがいて3人目を妊娠中なんですが、柔軟にライフスタイルを設計できるので子育てもしやすいですよ。

明日香さんが拠点とするウブドのコワーキングスペース「The Onion Collective」にて
かおり:私もたった3週間ほどですが、バリの人の良さに感動しました。心からの笑顔を向けてくれるし、日本語で話しかけてくれるし、異国に1人でいても安心感がありました。
明日香さん:おそらく文化的、歴史的背景が大きいと思います。日本が占領する前、1910年頃から30年ほどオランダ領だったことがあり、オランダによって“バリらしい文化”がどんどん育まれていった歴史があるんです。
バリルネッサンスと言うんですが、バリ特有の神秘的な文化を温存し、観光資源にするという形で進化してきた国なんです。
かおり:なるほど。バリが持つ空気感、すごく好きです。同じインドネシアでも、バリとその他の地域では全然違うみたいですね。
明日香さん:インドネシア全体ではイスラム教徒が多いですが、バリはヒンドゥー教徒が大半で、その影響が大きいでしょうね。
かおり:宗教感に大きく影響されているのは、すごく感じました。田丸さんはいつからバリで働いているんですか?
田丸さん:今年の5月にアース・カンパニーに転職してから、長期出張でバリに来ています。ちょうど半年が経過したところですが、僕はもう以前働いていた東京には戻りたくないですね。この雰囲気が本当に肌に合っていて。

アース・カンパニーの田丸悟郎さん(写真:右)
かおり:めっちゃバリに魅了されてますね! 仕事のスタイルも大きく変わったんですか?
田丸さん:以前は野村総合研究所で経営コンサルをしていて、同じようなバックグラウンドの人たちと毎日同じビルに通って仕事をしていたので、まったく違います。今は、ウブドにあるコワーキングスペース「The Onion Collective」を利用しつつ、支援の現場に行ったり、打ち合わせに出かけたり、フレキシブルです。
明日香さん:The Onion Collectiveは宿泊施設とレストランも兼ね備えていて、便利なうえに緑豊かですごく心地よく仕事ができています。しかも、現在は完全寄付制なんです。
かおり:え! すごい!! ノマドワーカーにとって、天国みたいな場所ですね〜!!
庭にオオトカゲが住み着く!? 想像の上をいくサバイバル生活

ウブドにはいたるところに森林があふれている
かおり:私、3週間ウブドにいて自然に癒される一方、あまりに多くの虫や爬虫類に遭遇するので、精神的にしんどくなってしまったんですが、そういうマイナス面は気にならないですか?
明日香さん:私や主人は気にならないです。途上国に長く住んでいたせいでしょうね。
かおり:なるほど〜! その問題がなかったら、ウブドは最高なんですけどね。住みたいぐらい。
明日香さん:ちょっと前までうちの庭には、1.5mのオオトカゲが2匹住んでましたよ。どこからかやってきて、勝手に住み着いちゃって。彼らは人間は襲ってこないんですが、飼っていた鶏と池の魚が全部食べられちゃいました。

ウブドでは池で飼われている鯉をよく見かける
かおり:オオトカゲ!? 私もレンボンガン島のマングローブで遭遇しましたが、あんなのが庭にいたなんて……!
明日香さん:うち、リビングに壁がないんですよ。だからなんでも入り放題で、蛇も入ってくるし、夜はコウモリがいっぱい飛んでます。
かおり:うわぁ、想像の上を行くワイルドな生活ですね(笑)。自然とともに生きる感じでカッコいいなぁ。それで平気だったら、どこでも生きていけそうですね!
明日香さん:私ももともとは虫とかトカゲとか嫌いなほうだったんですが、こういう環境にいると慣れますね。ただ、未だにゴキブリだけは嫌なんです。でも、子どもを虫がダメな子に育てたくないので、ゴキブリを見てもなんでもないフリをしてます。子どもって親の反応を見て学ぶので。
かおり:すごいなぁ。まぁ、いざとなれば私も退治したり、なんとかできるんですが、ものすごいテンションが下がるしエネルギーを使うので、どうしても出会いたくなくて……。でも、バリに住むならそれは無理なことだって、今回の旅で悟りました。自然が美しい南国に住むこと=あらゆる生き物と共存することなんですよね。
デジタルノマドの最強のメリットとは

The Onion Collectiveのコワーキングスペースの様子
かおり:私も2016年にフリーになってから、パソコン1台で働くノマドライフを送っているんですが、だんだんと旅と仕事を無理なく両立できるようになってきて、理想に近づいてきた気がします。みなさんは、デジタルノマドの働き方にどんなメリットを感じていますか?
明日香さん:それぞれのライフスタイルを大事にしながら、チームとしてポジティブな仕事ができているのは、最大のメリットです。私以外にも子育て中のメンバーがいますが、みんな育児や家事とバランスをとりながら、自分のペースで仕事ができているので。
さらに場所を問わないので、家庭の事情で地方に移住したりしても続けられますし。実際、地方在住で活躍しているママさんスタッフもいます。キャリア志向の女性が、東京にいないってだけで仕事ができなくなるのはもったいなさすぎるじゃないですか。
かおり:そのとおりですよね。私はどこにいても好きな仕事がしたいと思って、フリーライターを選んだんです。今は場所を問わないどころか、好きな場所を選んで仕事ができるし、時間も自由だし、会いたい人に会いに行けるし、いいことだらけです。
明日香さん:自分たちの住みたい場所に住み、価値観が合う人たちのそばで仕事が続けられるのは、最高に幸せです。私は気分に合わせて働く場所を変えるんですが、数字をつめたり細かい作業のときは地面に足を付けられる場所、ビジョニングなど一歩引いて大きなスケールで物事を考える必要があるときは広い景色が見渡せる場所など、使い分けています。

ウブドの田園風景が見渡せるカフェ「Tea ROOM」
かおり:すごいわかります〜! 私は原稿を書くときも企画を立てるときも、基本的には自然豊かな広い景色を見ていたいんですが、東京ではそれは叶わないですね……。みなさんは、タイムスケジュールをカチッと決めているんですか?
明日香さん:大体のスケジュールは決めていて、メンバー間で共有しています。でも、子どもが熱を出したときや緊急の用事が入ったときは柔軟に予定変更もできます。子供がまだ乳児だった頃は、抱っこ紐に入れてミーティングに行ったり、授乳しながら仕事をすることもよくありました。バリではミーティングに行くと、「子供たちは?」と聞かれることもあります。
かおり:本当に子育て中の方には最高の環境ですね。日本でも、もっとリモートワークが広がればいいなと思います。
遠距離でチームワークを育むために大事にしていること

かおり:デジタルノマドの働き方はメリットが多いものの、やはり難しい点もあるだろうなという気がしてます。実践されるなかで、苦労する点はありますか?
明日香さん:デジタルに依存しているので、たとえば停電とかで電気が落ちてしまったら、何もできない。ウブドでは時々停電があって、雨季はとくに増えるんですよ。
かおり:ですよね。バリはどこのカフェでもWi-Fiがあって、高確率で電源もあるので、めっちゃ助かってます。ただ、いいホテルでもWi-Fiが遅かったりして不便は感じていました。海外で仕事がしやすいWi-Fi環境を整えることは個人的に大きな課題です。
明日香さん:あとは、毎日Skypeを使ってミーティングをしているんですが、コミュニケーションが電話会議だけだとメンバーとの会話がどうしても仕事の内容だけになってしまうところですね。雑談をするタイミングって意識しないとないんですよ。
かおり:わかります。私の場合はSkypeも使わず、文字だけのやり取りになりがちで、イマイチ温度感が伝わりづらいのが悩みです。なるべく硬い文章にせずに「!」や「顔文字」を使ったりして、距離を縮められるように努力してます。
明日香さん:私は各担当者と週に1回定例ミーティングを設けていて、そこでは最初に雑談をして、お互いの状況を把握したり、ただ単に楽しい会話もするようにしています。それ以外にも、マンスリーミーティングでは、日本チームは集まって顔を合わせてミーティングします。
年に1回は、全チームでバリに集まって、スタッフ総会&中期レビューもしています。非日常的な環境に身を置いて、いつもと違う観点やより柔軟な観点でミーティングができるので、すごくいいです。
あと、チームで使っているコミュニケーションツールのSlackに、女子メンバーだけのチャンネルをつくったり。そこではプライベートの会話を楽しんでいます。
田丸さん:それ、初耳です!(笑)

The Onion Collective内のプール
今回お話を伺って、驚いたのは以下の2点。
①かなりの時間や予算をかけて、チームビルディングに注力していること
②ウブドの生活がワイルドすぎること(笑)
すっっごく勉強になりました。お忙しいなか、日本からひょこっとやって来た何の接点もないフリーライターのインタビューを受けてくれたみなさんは、本当に心が広いなぁと思います。
アース・カンパニーの濱川明日香さん、田丸悟郎さんに聞いた「これからの時代に必要なリーダーの素質」についてのインタビュー記事も、ぜひご覧ください!
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