2020年1月〜6月までデンマークに留学し、その後、フィンランド・ヘルシンキに引っ越し。日本(東京)とヘルシンキを行き来しながら、北欧への本格移住を検討しているところです。ただでさえ苦労が多い海外移住に【コロナ禍】が加わり、正直かなりキツい。しかし、そんななかでもヘルシンキに根を張ろうとしているのは、さまざまな可能性も見えてきているから。
今回は、私の独断と偏見による、フィンランド・ヘルシンキに単身移住してみて感じている【ツラいこと】【好きなこと】をランキング形式で5つご紹介します! 北欧やヨーロッパへの移住を検討している方に、参考にしていただければ幸いです。
※フリーランスとして活動している私の視点なので、現地の働き方などに関連する内容はありません。あくまで、生活シーンを基準としています。
フィンランド移住で【ツラいこと】ベスト5
まずは、ツラいなと感じていることから。
5位:冬の気候
言わずとしれた暗い&寒いで知られるフィンランドの冬。私が住むヘルシンキはフィンランドの最南端で、もっとも暖かい地域ですが、それでも12月頃から2月頃まで耐え難い寒さ(−5度〜−15度)になります。さすがに−20度まで下がるのはまれですが、もう−10度を超えてくると体感的には、あまり変わらない。
10分少々出歩くだけで、まつ毛&眉毛が凍り、しっかりカールしたまつ毛は下がり気味に…。耳が出ていると凍傷の恐れがあるので、耳までしっかり帽子をかぶらなければならず、ヘアスタイルも決まらない。完全に、冬はファッション<<<防寒です(笑)。

暗さもなかなかで、曇り空&霧が重なると、まるでゴーストタウンのような光景に…。フィンランドで暮らす人の多くは、寒さより暗さがキツいと言うほど。私はどっちも嫌ですが。一番日が短いときは15:30ぐらいに暗くなるし、晴れていてもお昼前から夕暮れみたいな太陽で、感覚が狂います。
雪はヘルシンキで12月〜4月ぐらいまで降り、街一体が明るくなるという理由で雪を好む人が多い傾向ですが、私は凍結して転ぶ危険が増すので嫌い。雪が降ると「チッ」と思う(笑)。観光で訪れる分には、雪が降るとすごくキレイです!
4位:食べ物のマズさ
フィンランドは気候の悪さから農作物があまり取れず、野菜が少ない&美味しくないと感じることが多くあります。例えば、キャベツ、玉ねぎは非常に固く、甘みが感じられない。ナスも非常に固く、日本のモノとは別物のよう。アボカドも美味しくないものが多いし、トマトも高い割に酸っぱい。じゃがいもとマッシュルームは美味しいんですが、総合的にマズいものが多いです。

アジアンスーパーで売っている日本食材
また、レトルト食品やできあいの惣菜なども、口に合わないと感じることが多いです。スーパーではお寿司も売っているのですが、10貫で1,300円などと高いうえに、味もいまいち。ひどいときはシャリがガッチガチだったりして、日本の寿司を想像していると、あまりの落差に泣きたくなります。アジアンスーパーが結構あるので、日本食材は割と買えますが、価格は1.5〜5倍ほど。例えば、3パックの納豆が500円など。
かなり高確率で美味しくないものに遭遇するので、初めての食べ物を買うときは、期待しないことを肝に銘じておきます。期待するとガッカリするので。その代わり、たまに美味しいものに出会うと、かなりテンションが上がります。
3位:物価の高さ
こちらも、ヨーロッパあるあるですね。私が特に高いと感じるのは、外食と交通費。スーパーの食品はモノによって価格がまちまちですが、驚くほど高いということはなく、日本と同等か1.5倍ぐらいでしょうか。雑貨類は、日本よりかなり高い印象です。日本みたいに100均とかないので、基本的な生活雑貨をそろえるだけで、結構お金がかかります。

アジア系のレストランでのランチ。1,800円ぐらい
レストランは1.5〜2倍が相場で、例えばカフェの一番安いコーヒーが400円ぐらい、カフェラテが500円ほど、ランチが2,000円前後、お酒などもアリのディナーが3,000円〜という感じです。ディナーは幅があるのですが、ちょっと高級感のあるお店だと、お酒を1〜2杯飲んだだけで7,000円超えてしまう。

ディナーでたっぷりのフライとビール1杯で確か3,500円ほど
時々疲れたり、時間がないタイミングで1人で外食することもありますが、あまり気が進まないのが正直なところ。せっかく外で食べるなら、誰かと楽しく交流しながら食べたい。
電車賃は、最低価格が2.8ユーロ(約370円)〜。訪問先のエリアによって料金が異なり、ヘルシンキ市内なら2.8ユーロなのですが、1駅乗車だろうが電車とバスを乗り継いで10駅乗ろうが、2.8ユーロ。最低価格がとにかく高いので、近場へ出かけると損した気分になる。乗り放題の定期を買うこともできますが、ビザがないと購入できないので、毎回きっぷを買う羽目に。ちなみに、旅行の場合は1日〜1週間までの乗り放題チケットが変えるので、そこまで高額にはなりません。
2位:公共サービスの対応の悪さ
これは、もう本当にひどい。フィンランド国営の郵便事業会社Postiは、配送の遅延がひどく、近年はサービスの質の低下も明らか。ダンボール箱が変形している、封書が折れたり、破れたりしている、問い合わせメールをガン無視、問い合わせをたらい回し(結局、折返しもこない)、税関手続きが終わった荷物が日本(荷主)に送り返される、などなどトラブルの宝庫。現状、改善の兆しが見えません。

Postiが配達した荷物。中身は無事だけど箱の角はつぶれている
また、自治体が経営しているヘルスステーション(病院のアポを取ったり、コロナ関連の問い合わせなどを受けたりするところ)も対応が悪い。フィンランドでは、問い合わせに対して【ここではわからないから〇〇に連絡してみて】とたらい回しにされることが非常に多く、同じ機関に連絡しても、人によって対応が違うことも多々。(ビザがない状態で滞在していると、余計に対応が適当です)
私は病院のアポ、コロナ関連の証明書に関して、何度か自治体のサービスに電話をしていますが、30分待ち続けてやっとつながったら、【ここではわからないから、最寄りのヘルスステーションに行ってみて】と言われ、ヘルスステーションに行ったら行ったで、【ここでは対応できないから、〇〇に電話して】と言われる始末。
もう耐性がついてきて、たらい回しにされたり、人によって対応が違うことに慣れてきましたが、それでもストレスにはなります。ビザを取得して、社会保障番号を取れたら少しは変わるのかな…と期待。
1位:人間関係の築きづらさ
2位と迷ったのですが、現状の悩みはこれなので、1位としました。フィンランドには、そこそこの数の日本人の方が住んでいて、みなさん結構お知り合い同士で仲が良い印象です。コミュニティが狭いので、当然といえば当然。例えば、Twitterで絡むと快くお返事をくれるのですが、住んでいる地域が遠かったり、小さいお子さんがいる方が多い&コロナもあり気軽に誘えなくて、なかなか輪が広がらない…(ちなみにTwitterは匿名&顔出しなしでやっている方も多いので、リアル感が薄いのもあります)
フィンランド人をはじめとした地元の人と知り合う場合は、習い事に通う、アプリで出会う、友達や知人に紹介してもらうなどがありますが、いずれも難易度が高めです。フィンランド語がペラペラであれば、友達がつくりやすいのですが、私のようにフィンランド語のスキルがゼロ、英語のみで生活している場合、マッチする習い事を探すだけで一苦労。
唯一、移民でも入りやすそうなテーブルテニスのサークルにお試しで行ってみましたが、年齢層高い&レベル感が合わないために、あまり楽しめず。年明けに近場のダンススクールに行ってみようかな〜と思っているところです。
ちなみに、出会い系アプリやランゲージ・エクスチェンジのサイトでもちょいちょい出会いを広げていますが、気が合う人に出会うまでに、労力を費やしますよね(これは日本も同じですが)…。特に友達となると優先順位が低い(圧倒的にパートナーが優先ですよね)ので、メッセージが途切れがち。
恋人を探すのであれば、日本人女性の印象は良いみたいで、そもそもフィンランドにいる独身のアジア女性の母数が著しく少ないので、わりかしモテます(笑)。男性はわかりませんが…。現地の人とデートした話は、機会があれば書きたいと思います。
フィンランド移住で【好きなこと】ベスト5
もちろん、ステキなところもちゃんとあります。
5位:サウナに入りたい放題
フィンランドといえば「サウナ」を思い浮かべる人も多いと思いますが、確かにサウナの数は異常に多い。各部屋に専用サウナがあるアパートメント(日本でいうマンション)もあれば、住民が交代制で使えるシェアサウナを設置しているところも。私が住んでいるのはめずらしいアパートメントなので、9時〜22時の間はいつでも入れます。

公共サウナもかなりの数があります。男女別であれば裸だと思いますが、混合の場合は水着着用が原則のようです。現地の人は友達や家族と来る人も多く、混み合っていると結構にぎやか。日本のように静かに入る雰囲気はあまりないです。ロウリュは基本的に自由なところが多く、全体的に高温を好む傾向が見られます。
4位:都市と自然のバランスが良い
日本だと福岡などはかなり近いかもしれませんが、野生のリスが生息している森や海が都心からすぐそばにあります。海はキレイではないのですが、森はなかなか神秘的。夏にはベリー狩り、秋にはキノコ狩りができるようで、地元の方は結構ひんぱんに森に行っている印象があります。雪が積もると、森でカントリースキーを楽しむ人も。

私は、天気がいい日に森をお散歩をするぐらいですが、本当に気持ちよく、自然の恵みに感謝の気持ちが湧いてきます。白樺も多くあり、私は白樺の森の光景がとても好きです。北海道にすごく似ていて、北海道に滞在していたときに何度もフィンランドを思い出しました。

ちなみに、ヘルシンキから電車やバスで1時間ほど北上したバンターという都市があるのですが(空港があるところです)、ここは結構田舎で、公道を野生のシカが横切っているところを見ました(笑)。レアですが、場所によっては野生のシカが見られます。
3位:人が多すぎない&街が安全
フィンランドは人口が約550万人と、かなり小国。ヘルシンキは場所によってはゴミゴミしているのですが、それでも密集度は東京に遠く及びません。特に、電車やバスはラッシュアワーであろう時間帯に乗っても、それほど混雑していません。座れないことがあっても、周囲の人としっかり距離を取ることはできます。

ヘルシンキのもっとも混雑しているであろう通りの一つ
ただ、現在はコロナ禍で観光客が著しく少ないので、観光客が多い場合は、もっと混み合うのかもしれません。コロナ禍のフィンランドしか経験していないので、このあたりはよくわからず…。

人が少なく、自転車道と歩道が比較的しっかり分かれているので、電動キックボードや自転車に乗りやすいメリットも。私はフィンランドで電動キックボードデビューして、時々利用しています。利用料は安くはないですが、急いでいるときや疲れているときは便利。夏場は乗ったことないけど、最高に違いない。
2位:英語が上達する
他のEU諸国でも同様かもしれませんが、フィンランドでもかなり英語が通じます。特に、ヘルシンキであれば高確率で英語でも対応してくれるので、英語でオーダーしても大丈夫。店頭のメニューも英語表記があるところが多いです。数回、英語が苦手なデパートの年配のスタッフさんに遭遇しましたが、そのときは他の店員さんを呼んでくれました。
英語を話したときに、「何で英語なの?」というけげんな感じは基本的にないので、「英語しか話せなくて申し訳ないな」という気持ちにもなりづらい。私の場合は、店員さんとの対応、現地の人との英語でのコミュニケーション(プライベートと仕事どちらも)と週3ペースのオンライン英会話を10ヵ月ほど継続した結果、だいぶ英語での会話がスムーズになりました。ヘルスステーションや病院なども英語で質問や説明をする必要があるので、いろいろなシーンで英語力が鍛えられます。
1位:持続可能性を考えさせられる
私の場合、なぜフィンランドにいるかというと、自分の価値観を見直し、持続可能な暮らしや働き方を追求したいから、という点が大きいです。フィンランドだけじゃなく、他の北欧やヨーロッパも同様の意識があると思いますが、私は北欧に焦点を絞り、デンマークよりはビザが取得しやすそうなフィンランドに引っ越すことにしました。誰ひとりリアルな知り合いがいないのに、よく来たなと思いますが(笑)。

街なかで野生のリスを見かけることもある
この記事では詳細は割愛しますが、日本とは真逆の価値観もあり、責任を果たすより「しっかり休む」ことを優先する文化があります。無責任ではないですが、「休み期間は反応しないよ」というのがビジネスの基本。仕事より、その他の人生が大事だよね、と考える傾向もある(私は人生をかけて仕事をする人の気持ちも大いにわかるし応援しているので、単純にそうとは思わないけど)。
東京と比較すると、遊ぶ場所などが少なく、あまり代わり映えしない。良くいえば、落ち着いている、悪くいうと、刺激がない。東京より断然つまらないなと正直思いますが、つまらないなりに、今までやったことがない料理にトライしたり、ゆっくり自然に触れたり、何かしら楽しみを見つけようとしています。

「世界一幸せな国」といわれていることには現地でも賛否両論あり、私も疑問があります。でも、日本が見習うと良いかなと思うところも多々あり、もしかしたら日本が目指すべき姿は北欧の暮らしなのかなと、ぼんやり考えることも。本当に北欧の暮らしが持続可能なのか、どうしたら日本に北欧の良いところを取り入れられるかを考えています。
長くなりましたが、これでおしまい! 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!