2017年12月、バリ島ウブドに暮らすフリーライターの平理以子さんに「バリ島での暮らし」について、たっぷりインタビューをさせていただきました。
バリ人の旦那さまとご結婚され、現在は2人のお子さん、義理のお父さん、義理の弟さん家族の合計8人で生活されている平さんは、主婦・フリーライター以外に、洋服や雑貨の製作販売、ヴィラタイプのお宿「De’dalam」の経営と、多彩な顔を持つ魅力的な女性。

大きな窓から明るい光が差し込む「De’dalam」のお部屋
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バリ島で暮らす平さんのライフスタイルを伺い、これまでの人生で知り得なかった事実のオンパレードに、インタビュー中に何度も奇声を発してしまった私(笑)。
みなさんにとって「こんな生き方もあるんだ」「こんな価値観もあるんだ」という、人生の選択肢の一つになれば幸せです♡
バリで旦那さまと出会う→遠距離恋愛→移住→結婚

ウブドの有名観光スポット「ライステラス」
かおり:平さんのライフスタイルめっちゃ気になります! そもそも旦那さまと出会ったキッカケはなんですか?
平さん:バリに初めて一人旅に来たときに、彼に街で声をかけられて。3泊ぐらいだったかな。2001年だからもう16年前ですね〜。
かおり:え? ナンパ?? 初めての一人旅でそんな出会いがあるものなんですか?
平さん:1人で歩いていたら声かけられません? ナンパされたでしょ?
かおり:……いや、記憶にないのでされてないと思いますw
平さん:たぶんバリアを張ってるからですよ。バリ人と結婚した日本人の方は、みんなナンパみたいな出会いですよ。
かおり:あ、こっちで日本語がめっちゃうまいオジサンには声かけられましたね。「いい宝石屋さんに連れて行ってあげるよ〜」って。

バリで一番人気(らしい)宝石「ガムランボール」
平さん:それ、よくある詐欺っぽいやつですよね(笑)。
かおり:大丈夫です、まんまと買ったりはしてないです!(笑) 旦那さまとは遠距離恋愛されてたんですか?
平さん:ですね〜、お友達になって恋愛に発展して、1年半は遠距離でした。休みをとって時々バリまで会いに行って。その後は私がバリに移住して1年ぐらい付き合って、彼と一緒に日本に戻ってきて、結婚という流れです。
かおり:わ〜、ロマンチックだな〜。コミュニケーションは英語で?
平さん:最初は英語でしたね。でも、彼は日本人オーナーのお店で働いていたので、わりと日本語が話せたんですよ。
かおり:それなら恋愛になるのもわかります。旦那さまのどこに一番惹かれたんですか?
平さん:え〜、顔がカッコよかったところかなぁ(笑) こっちの人って、案外日本人なじみする顔の人多いじゃないですか。
かおり:そうかも。私は「ザ・外人」っていう堀の深いイケメンカメラマンに出会いましたよ。バリの伝統衣装を着て、彼に写真を撮ってもらいました♡
床のドロに嫌悪感……3年耐えたら価値観が一変

ウブドでは整備されていない道も多い
かおり:日本に戻って結婚したってお話でしたが、なぜ再びバリに移住されたんでしょう?
平さん:主人が日本で暮らして働いてみたいと言うので、日本に移り住んで6年ほど日本で暮らしたんですが、義理の母が亡くなったことをキッカケに2010年にバリに戻ることにしました。家庭にお母さんがいなくなっちゃうので。今は家族4人、義父、義理の弟家族の合計8人暮らしです。
かおり:大家族ですね! 家事とかすごい量じゃないですか?
平さん:でも、バリって朝、ご飯を作ったら昼も夜も同じものを食べてくれるし、みんなで食卓を囲む習慣がないので、かなり気楽ですよ。洗い物も各自でやるし。こっちって核家族が少なくて、大人数で暮らすのが一般的な感じなんです。
かおり:義理のお父さん幸せでしょうねぇ。
平さん:バリには老人ホームがないので、年老いた家族と一緒に暮らすのは当たり前って感覚かなぁ。だから私も老後の心配はしてないっていうか、歳をとるのが怖いっていう気持ちがないですね。
かおり:そういうところ、すごいいいですね。でも、やっぱり異国だし嫌なところもありますよね?
平さん:最初に気になったのはバリの汚さ。みんな足の裏が汚れることに抵抗がないから、家族が汚れた足で家に上がるのが嫌で嫌で(笑)
掃除したばっかりなのに、一瞬で床が泥だらけになるし。あとはご飯を手で食べるので、そこらじゅうに米粒が落ちてたり。しょっちゅう家族と揉めてましたよ。
かおり:あぁ、それは嫌ですね。私はこの2週間の間に、部屋で虫と爬虫類に何度も遭遇してバリが嫌いになりそうになりました……。南国で暮らすって虫や爬虫類と共存することなんだって思い知りました。
平さん:でもね、3年ぐらい経ったらなーんにも気にならなくなって! 私は時間がかかったほうだったけど、なんとか耐えて暮らしていれば、いずれは順応できるものなんだなって思いました。
かおり:へ〜! でも3年も耐えて暮らしていたのがすごいですよ!!
平さん:何度か日本に帰ろうかと思ったけど、仕事も辞めて大々的に移住したのに「床が汚いから」って理由で帰れないなって(笑) 文化の異なる相手に嫁いだんだし、もうちょっとがんばろうっていうのを繰り返してたら、パって気にならなくなりました。
毎日60カ所にお供え。お葬式の準備に1カ月。ヒンドゥー教の慣習

バリでは道路・レストラン・一般家庭など、どこでもこのお供え物を見かける
平さん:あとバリの独特の慣習っていえば、宗教関連ですね。バリ人って90%以上がヒンドゥー教を信仰していて、私も主人の家庭に嫁いだのでヒンドゥーなんです。
こっちってみんな必ず宗教を持っていて、絶対宗教を聞かれるんですよ。病院に行っても、名前と宗教が聞かれるし。
かおり:へ〜! 日本ってなんであんなに宗教=タブーなんだろう。そこは日本人だけど意味不明。同じ哲学を持つ者同士が団結しないと、永遠に平和なんて訪れないと思いますけどね〜。ヒンドゥー教では、どんなことをするんですか?
平さん:朝晩、自宅とその周辺30カ所にお供え物を備えます。お供え物は自分たちで毎日つくってるんですが、あれも最初はキツかったな〜(笑)。なんで毎日1〜2時間もかけてお供えしてるんだろうって。今となっては納得してやっているんですが
かおり:30カ所!?!? 私だったら3日もたないですね(笑)。

バリ島で見られる伝統的なケチャックダンス
平さん:あと、5年に1度の合同葬(お葬式)は予想をはるかに超えた大イベント。こちらでは人が亡くなるとまず土葬して、合同葬のタイミングが来たら、土から遺体を掘り起こして火葬することが多いんです。私は義母が亡くなったときに合同葬を経験したんですが、1カ月1日も休みなく、朝7時〜21時までずっと集会所に入り浸りでした。
かおり:え? 何をされるんですか??
平さん:ひたすらお供え物をつくるんです。ずーーーっと。
かおり:ずっと??
平さん:ずーーーーーーーーーーーーっと。
かおり:(絶句)
平さん:こちらではインドネシア語とバリ語があって、地元の人はバリ語で話すんです。でも私はインドネシア語しか知らなくて、言葉が通じないうえにお供え物のつくり方も知らなくて、だから余計にキツかった〜!!
わからないからって黙って座っていられないじゃないですか。何かしなきゃ、でも何をすればいいかわからない、みたいな。けど、このお葬式のおかげで村のお母さんたちの顔を覚えられたし、私の人となりも知ってもらえたし、コミュニティには入れた気がしますね。今となっては、お葬式があってよかったなって。
まぁ、お葬式だけじゃなくて、他にもいっぱいいっぱいいっぱい祭礼があるんですけどね(笑)。
かおり:いや、すごい。もうすごいとしか言えないです(笑)。けど、それも旦那さまへの愛情が深いからできるんだろうなぁ♡
平さんの「バリ島でのワークスタイル」をインタビューした、後編もぜひご覧ください⬇