言葉と人間性は「表裏一体」なのだということ




私がライターへの一歩を踏み出したのは、2014年11月のこと。とあるWEBメディアのライター募集に応募し、入賞したことがキッカケでした。

それから約4年間、「価値のある文章を書きたい」と真摯に言葉と向き合ってきました。この経験から学んだこと、感じたことを率直に綴りたいと思います。

文章について課題がある方、ライターという職業に興味がある方に届けば嬉しいです。

価値のある文章とは、なんなのか

ライターの観点でいうと、価値のある文章とは「伝わる文章」です。

情報を伝える、ストーリーを伝える、価値を伝える、人柄を伝える。読んでほしい人に向けて、伝えたいことがストレートに伝わるという「目的」を果たせる文章が価値のある文章だと、私は捉えています。

意図を伝えたうえで「行動を起こしてもらう」ことができれば最高です。ただし、行動にうつしてもらうには、相手の心を動かさないといけないので、簡単ではありません。

熱量のある文章に付随して、写真や動画、イラスト、画面レイアウトなど、さまざまな合わせ技を使いながら、読んだ人の「心を動かす」ために、日々試行錯誤を重ねています。

人との「会話」から「言葉」をインストール

ライターという職業で生きていると「本が好きなの?」と言われることが多々あるのですが、私に限って言うとそんなことはありません。職業柄、WEB記事はたくさん目にするけれど、本はあまり読めていないのが正直なところ。

雑誌や新聞はたまーに。じゃあ一体、私はどこから言葉を仕入れているのかというと、ほとんどは「取材」です。

インタビュー記事は、基本的に相手が話してくれたエピソードや情報を文章化するもの。補足情報として信頼性のあるデータや著名人の意見を引用したりすることはありますが、できる限り相手の言葉を生かして書くことが多いです。

インタビューをしていると、普段自分が使わない言葉や表現がたくさん登場します。これが、めちゃくちゃ楽しい。相手の人間性や自分との感じ方の違いも見える。

難しい言葉やオシャレな言葉だからいいワケではなく、私はその人の持っている感性がそのまま現れた「生っぽい言葉」を聞けたときに一番興奮します。笑 なんていうんですかね、その光景がありありと目に浮かび、相手と同じ体験を共有している気分になれるというか。

私自身は感覚で言葉を話す傾向があるので、自分と真逆の論理的に話す知的なタイプの方を取材すると、ものすっごく疲れますが、その分、言葉が養われます。

日々、誰かと交わした言葉が自分にインストールされ、引き出しが増えていく感覚。私の場合は、インタビューの文字起こしを自分でやるので、その作業中に言葉たちがふわっと心に染み込んでいきます。

あとは、TV番組のナレーションやテロップ、広告はけっこう観察します。短い言葉で人に伝えるスキルを学ぶのに役立つと思うから。これは非常に技術がいることなのでまだまだですが、もっと学びたい。

もう一つ欠かせないのは、編集者の存在。編集者は企画の方向性を決めたり、ライターが書いた文章に赤入れをしてくれたりする人です。編集者が優秀な方だと、ライターもどんどん優秀になっていく。私が駆け出し1年目で大きく成長できたのは、素晴らしすぎる編集者のみなさまのおかげなんです。

「言葉」は「人間性」と掛け合わせてこそ響く

4年ほどインタビューや体験取材を通して記事を書き続けてきて、バランスがとれた文章、スラスラと読める文章は書けるようになったと思っています。

ただ、どうしても何かが足りない。私に足りない”何か”はなんなのか。

答えは明らかで「人間性」が足りていないんです。うまい文章、伝わる文章を書くなら、豊富な情報量と言葉の引き出しがあること、読者となる人の気持ちにどれだけ寄り添っているかが大事です。

「誰のための文章なのか」、記事を書くときは、この一点に意識を集中して書くのですが、相手の気持ちに寄り添える想像力や真剣に誰かを救いたいと思う気持ち、いわゆる人間力がないと刺さる文章は書けないんです。

読者となりえる人の悩みを丁寧にリサーチする。それはライターとしてやるべきことの一つですが、その悩みを深く理解して自分ごと化するには、ベースとなる人間性が必要だと思うんですよね。

ある程度、書けるようになると、自分ごと化しなくてもそれなりの文章は書けてしまうけれど、その言葉はなんだか宙に浮いていて、心に響く文章にはならない。そんな気がします。

言葉(情報)と書き手の人間性。その2つを掛け合わせることで、もっとも価値のある文章になるのだというのが、現時点での私の結論です。

人間性を磨くには、誰かの人生に光を灯すこと

じゃあ、どうやって人間性を高めるかというと、とにかく人と関わっていくことしかないと思うんです。

1人でいると好きなように取捨選択ができてラクだし、ストレスも減らせる。でも、それだけでは成長が止まるような気がします。

誰かの悩みを聞いて一緒に苦しみ、誰かの成長を一緒に喜ぶ。人の人生に自ら寄り添っていく。結局、それでしか人間性は磨けないのかなと思っています。(と言いつつ、やりたいことに集中できる1人の時間も欠かせないんですが)

「人は人と関わるために生きている」、以前読んだAI関連の記事に、こんな一文が書かれていました。なんのために生きるかは、一人ひとりが決めれば良いことだと思うけれど、私は人と関わるため、関わった人を幸せにするために生まれてきたと思うようにしました。

「誰かの人生に光を灯す」というと大げさに聞こえるかもしれませんが、誰かの人生を自分の人生と同じように考え、応援できる自分になりたいと思っています。

誰かの幸せそうな姿に嫉妬したり、優秀な人と自分を比べてしょんぼりしたり、自分の人生が意味のないものに思えたりすることも、たくさんあります。

そんなときは自分が生きる意味を思い出し、周りの人たちへ視線を向けたいと思います。そうしたら、いつの間にか自分の悩みなんて忘れてしまうんじゃないかなって。

で、私は何を言いたかったんだっけ? と本題に立ち返ると、「言葉」と「人間性」は表裏一体だから、価値のある文章を書くには、人間性を磨きましょうってことです。

これは他の誰かというより、私自身のために書いた文章。「この気持ちをずっと忘れないように」留めておきたくて。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。




ABOUTこの記事をかいた人

1981年、埼玉県生まれ。2014年ライターデビュー。旅と仕事を両立できる働き方にトライしていて、2020年はデンマークに移住して、現地のフォルケホイスコーレに留学しながら仕事を続けています。【働き方/旅/IT】などの分野で、800以上の記事を執筆。 ブログや執筆記事の更新は、FacebookとTwitter、日常や旅写真は、Instagramにてお知らせしています♡